長寿や子孫繁栄のシンボルとして、あるいは昔話の主人公として、日本人に親しまれ崇められてきたウミガメ。しかし現在、ウミガメは絶滅の危機に瀕している。産卵する姿を見ることができなくなった浜辺も増えた。ウミガメは今、私たちに何を伝えようとしているのか。ウミガメの生態は、いまだ多くの謎に包まれている。その中でも驚かされるのは、アカウミガメの行動経路だ。実は、日本で生まれたアカウミガメの子ガメは、なんと太平洋を横断、餌の豊富なメキシコの沿岸に渡って成長し、その後、産卵のために、再び日本に戻ってくるのである。一生をかけて、往復2万キロの壮大な旅に挑むのだ。ウミガメを追って、歌手・元ちとせと俳優・須賀健太が、日本各地とメキシコへの旅に出発する。ウミガメが発しているメッセージを受けとめる旅だ。





日本一のウミガメの上陸産卵地である鹿児島県。屋久島に次いで上陸が多い種子島では、サーファーたちが動き始めた。定置網漁にかかるウミガメの調査を行う一方、島の子どもたちとウミガメの勉強会や海岸清掃に取り組んでいる。豊かな砂浜はウミガメにとってもサーファーにとっても大切なもの。「ウミガメは仲間」だと語る彼らの1年を追った。


奄美大島出身の歌手・元ちとせは、幼い頃、家の近くにウミガメが迷い込んできた経験を持つ。「その時は乙姫様になった気持ちでした」と語る元のふるさと奄美には、“ニライカナイ”という竜宮伝説が今も息づいている。竜宮の使いといわれるウミガメ。奄美や沖縄など南の島々では、今もウミガメは親しみ深く、かつ神聖な生き物だ。カメを見守り続ける”ウミガメおばぁ”こと 根間タケさんや観光船の船頭さんを訪ね、 人々の暮らしの中にあるウミガメの姿をたどる。

ウミガメの生態を学ぶのは、俳優の須賀健太。探検家になるのが夢だという須賀は、アカウミガメの太平洋往復2万キロの旅を追ってメキシコへ。日本の水族館が研究用の標識(タグ)をつけて放したウミガメを捕まえたという漁民を探す。その人物は標識と知らずにキーホルダーにしていたという。果たして、会うことができたのか?また、ある港町では、海にダイブして素手でカメを捕まえるという豪快な捕獲調査にも同行する。
一方、このメキシコ沿岸には、「ウミガメの墓場」と呼ばれるビーチもあった。そこには、漁業による混獲の犠牲となり、何百頭もの溺死したウミガメの姿が・・・。ショッキングな現実を目の当たりにして、須賀は何を感じたのか。

初秋、種子島では子ガメが旅立ちの季節を迎えた。産卵からおよそ2ヶ月後、砂の中でふ化は始まる。卵から孵っても大人になれるのは5千匹のうち1匹ともいわれる、厳しい世界が外には待っている。それでも、子ガメたちは、迷うことなく海の方向へ這い出て、ひたすら波に向かっていく。太平洋の向こうの国をめざして。ウミガメたちの新しい旅の始まりだ。




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