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大崎事件発生から41年 弁護団“再現映像”で訴え[10/15 19:42]

殺人罪などで服役した原口アヤ子さん(93)が無罪を訴え、再審=裁判のやり直しを求めている大崎事件は、15日で発生から41年です。4回目となる今回の再審請求で、弁護団は「他殺ではなく事故死」とする主張を新たな手法で証明しようとしています。

弁護団は今月、大崎町で、鹿児島地裁に新たな証拠として提出する“再現映像”を撮影しました。現場を指揮するのは、えん罪事件を描いた映画「それでもボクはやってない」を手がけ、弁護団の支援もしてきた周防正行監督です。

(周防正行監督)「あの現場を再現するのは大変なことだが、一定レベルの再現性は保てた」

41年前の1979年10月15日。鹿児島県大崎町で男性が遺体で見つかった大崎事件。殺人罪などで服役した義理の姉・原口アヤ子さん(93)は一貫して無実を訴え、再審=裁判のやり直しを求めています。
1995年以降、3度行われた再審請求で、3回は再審開始が認められましたが、いずれものちに覆されるという異例の展開をたどってきました。再審請求をするには毎回、新たな証拠が必要となります。

原口さんを有罪とした判決では、男性の死因を「タオルで首をしめられた窒息死」とされています。これに対し、今回4回目の請求で弁護団は救命救急医の鑑定書を地裁に提出。男性の死因について「自転車で側溝に転落して重篤な状態だった男性を自宅に送り届けようとした住民が、トラックの荷台に放り込んだことで首の損傷が悪化し呼吸が停止した」としています。
「他殺ではなく、事故の可能性」この主張を補強するための証拠として制作したのが、当時の供述調書などをもとにした“再現映像”でした。

撮影は、インターネットで集めたおよそ1000万円の資金を活用。再審請求で、証拠用の映像を映画監督が手掛けるのは異例で、周防監督は、映像だからこそ分かることがあるといいます。

(周防監督)「(当時の人たちが)どういう行動になるのか、僕ら自身も実験しながら、3日かけて1つずつ丁寧にやった。書面上のことが現実空間ではどうなるか、そこを見るのは大事」

撮影には、今回の再審請求で医学鑑定書を書いた救命救急医も立ち会いました。

(埼玉医科大学 澤野誠高度救命救急センター長)「傷病者の搬送時、絶対に頚髄・頚椎を動かしてはいけないが、(当時)どのような方法とっても、首に損傷が加わる」

弁護団は今月12日に、大崎町の現場で鹿児島地裁と地検の立ち合いの下、当時の経緯を再現。裁判官が現場を確認するのは、1回目の再審請求以来、24年ぶりでした。

(弁護団 鴨志田祐美事務局長)「どれほどの調書を重ねても、紙切れを見ても、きょうの説得力に勝るものはない」

一方、弁護団によりますと、鹿児島地検は15日までに、法医学者の鑑定をもとにした、再審請求に反論する意見書を地裁に提出したということで、地検はMBCの取材に対し、「再審を認めなかった前回の最高裁決定を踏まえ、地裁に対し適正かつ的確に意見を述べていきたい」としています。

今年93歳となった原口さん。認知症などを患い、県内の病院に入院していて、支援者によりますと、体調は安定しているということです。
事件から41年。原口さんは今も、再審の扉が開く日を待ち続けています。


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