MBC NEWS

日置市5人殺害 被告の母親が証言「抱きしめてあげればよかった」[11/20 19:29]

鹿児島県日置市でおととし、親族ら男女5人が殺害された事件の裁判員裁判で20日、母親が被告の生い立ちを証言しました。「息子が精神的に参っている時に抱きしめてあげればよかった」。言葉を詰まらせながら思いを語りました。

(被告の母親)「短気なところもありましたが、やさしくて素直な子でした。友人を守る正義感もあって」

別室にいる被告の母親とビデオ通話で結んで行われた20日の証人尋問。しかし、被告との生活は、やがて暴力への恐怖に変わったと証言しました。

岩倉知広被告は、おととし3月から4月にかけて、日置市東市来町湯田にある被告の祖母の住宅で、祖母や父親、親族ら男女あわせて5人の首を絞めて殺害した罪などに問われています。
岩倉被告は両親と妹との4人家族。中学生時代、大学に進学してパイロットを目指していたといいます。しかし、母親によりますと、被告が変わり始めたきっかけは高校1年の時の両親の離婚でした。母親と妹との3人暮らしとなり、被告は高校2年で自分の意思で突然、中退したといいます。

(被告の母親)「柔道仲間は自宅に(中退しないよう)説得に来たんです。理由を聞いても言わず、知広の人生が狂ったのは離婚のせいだと感じました」

その後、被告は自宅にひきこもりがちになり、県内外で仕事に就きましたが、長続きしませんでした。22歳で入った自衛隊も1年で辞めてしまいます。

(被告の母親)「自分に合っていると意気込んでいいたのに、何もかも嫌になった感じで。よっぽど嫌なことがあったんだと思いました」

自衛隊を辞めて自宅に戻ってから、被告に異変が起きたといいます。

(被告の母親)「夜中に外に出て大声を上げたり、『俺は盗聴されている、監視されている、自分の悪口を言われている』と言い出したりしました」

被告は次第に気性が荒くなり、ささいなことがきっかけで、家族に暴力を振るうようにもなりました。

(母親)「娘の腰の骨が折れたこともありました。顔や体を殴って蹴って…。暴力が怖くなりました。私は首を絞められ、次はない。次は本当に殺されると思い、知広を置いて、娘のいる大分へ行きました。何度も警察に通報したいと思いましたが、仕返しが怖かったんです」

被告と別々の暮らしを始めた母親。その4年後、事件が起きました。

(被告の母親)「犯人は知広だろうと思いました。私が我慢して一緒にいればよかった」
母親の証言している間、正面をじっと見つめていた岩倉被告。変化が見られたのは、言葉を詰まらせながら証言した母親の次の言葉でした。

(被告の母親)「最近、息子が神社でよちよち歩てくる夢を見るんです。本人が精神的に参っている時に抱きしめてあげればよかった。どんなことがあっても人を殺めたら終わり。苦しくてもみんなに謝罪してほしいです」

この言葉を聞いた被告は、涙ぐみ、肩を震わせていました。

裁判では弁護側は被告は心神耗弱だったとして減刑を求めていて、一方の検察側は完全な責任能力があったとしています。
裁判は来週、被告人質問などが予定され、判決は来月11日に言い渡されます。


Copyright(c) Minaminihon Broadcasting Co.,Ltd. All rights reserved.
掲載された全ての記事・画像等の無断転載、二次利用をお断りいたします。